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キーワード: 藤 未都也 (3 件 / 1 ページ)

私はご都合主義な解決担当の王女である 3

 

転生腐女子の結婚回避ラブコメ、準舞踏会編クライマックス! 忌々しい過去と向き合い、護衛の騎士クリフォードの制服を涙と鼻水で濡らした私――王女オクタヴィアは、気付けば反王家派の物騒な諍いに巻き込まれていた。 しかも、一緒に訪れていた兄の恋人(男)シル様が行方不明に!! できれば関わりたくなかった(詳細は2巻で)仮面の男ルストの導きにより、シル様を捜して辿り着いた先には……!? 準舞踏会編完結!

クリフォードの支えを得て、改めて仮面の男ルストと対峙する覚悟を決めたオクタヴィア。ところが、話の途中で侵入者の襲撃を受ける。彼らの狙いは、兄の恋人(男)・シル様だと知ったオクタヴィアは、クリフォードと共にルストの案内で彼の行方を追うことになるが…。

準舞踏会編後半戦。戦いの中で育まれる絆が熱い。

オクタヴィアを狙う謎の集団、そして行方をくらませたシル様を巡る小競り合い。そしてクリフォード以外の『従』との対決──お城の中で展開された1巻、華やかな準舞踏会でのやり取りが中心だった2巻と比べて一気にバトル要素の強い3巻でした。クリフォードの邪魔にならないよう立ち振る舞おうとするオクタヴィアを尻目に、非戦闘員である彼女が側にいても色褪せない強さを見せつけるクリフォードの姿に圧倒されてしまう。

そんな中で、どこか自分の犠牲を顧みないオクタヴィアのとある行動を、絶対であるはずの『主』からの命令すらも超えて抑止しようと動いてしまうクリフォードの姿が印象的。たとえそれが彼女の本意であったとしても彼女が傷つくのが許せない、と。少しずつ、クリフォードがオクタヴィアに対して主従の線引きを超えた感情を持ち始めているのが伝わってくるのがたまらなく楽しかったです。同時に、オクタヴィアの方も今回の準舞踏会での件を経てクリフォードとの絆を深めたようで……二人の関係性の変化を思わせる、最後の1行に思わずニヤニヤしてしまった。

レイフが語った『オンガルヌの使者』が“不可能を可能にした『従』”であるという可能性も含めて、先が楽しみで仕方がない。

良くも悪くもスッキリしない終わり方…

ただ、準舞踏会編の展開をまとめて思い出すと総合的には凄く面白かったんですが、準舞踏会編後半である3巻自体はちょっとカタルシスに欠ける、スッキリしない終わり方だなあと。2巻で明かされた様々な真実がめちゃくちゃ面白かっただけに、バトルは派手だったけどむしろ物語の謎が深まっただけの展開にはどこかスッキリしないものを感じてしまった。Web小説原作にはありがちな話だけどとにかく物語の動き方が遅い。準舞踏会の内容、1冊で読みたかったなという気持ちがすごい。ラスト自体は良かったんだけど、本来あるべきCパートがとれてないアニメの録画みたいになっちゃってるのがちょっと気になる。

っていうか元々の彼女の目的であったはずの偽装恋人の話とかマジで完全に有耶無耶になってしまったというか、ルストのアレコレを考えるとむしろ完全にふりだしに戻ってるんですけど!?ルストやおじさまが恋人相手の手がかりを持ってるとかそのくらいの手がかりがあっても良かった気がする。(っていうかこれだけラブラブなわけですしクリフォードじゃだめなんですかねえ!!)

続きが気になる展開、なんだけど…

2巻でたのが一昨年、という話を見てWeb版見に行ったらここ(3巻ラスト)からほとんど進んでないんですよね。
これ続きいつになるかなあ……1巻分まとまってから続きを投稿してるってかんじでもないんだよなあ。


私はご都合主義な解決担当の王女である 2

 

転生腐女子だって幸せな結婚がしたい。だったらその勝負、受けてたちます! お世継ぎ問題回避! のため恋人候補を見つけるべく準舞踏会にやってきた私――王女オクタヴィア(中身は元女子高生@転生腐女子)。 その道中、兄の恋人(男)のシル様と遭遇! なんだかワケありの彼と、主従関係を結んだクリフォードのエスコートで、いざ恋人探し! と思ったのに、そこで転生のきっかけとなった過去の忌々しい記憶と向き合うことになり!?

世継ぎ問題押し付けを回避するため、そして兄にお披露目する「恋人」を見つけるため、準舞踏会にやってきたオクタヴィア。ところが道中、兄・セリウスの目を盗んで一人で準舞踏会やってきたシルが馬車のトラブルに巻き込まれているところに遭遇し、一緒に向かうことに。会場には兄の親友・デレクもやってきていて──一筋縄では行かなそうな舞踏会が幕を開ける……!?

1巻では見えなかった部分の人間関係が興味深い

セリウス王子が不在で王宮以外の場所だからこそ見えてくる、ほぼ建前抜きの関係性が興味深かった。シル様が本当にBL世界の「「「光の受」」」って感じで良い意味で憎めない人なんだよなあ…!デレクもめちゃくちゃいいキャラだしオクタヴィアとのやり取りとかめちゃくちゃ好きなんだけど、正直色々な設定から重ね合わせると胡散臭さがすごい。

根幹から歪んでいた「ご都合主義」世界の真実

予定外のアクシデントにもめげず、自らの恋人候補を探すオクタヴィア。ところが、探し求めていたはずの人物と出会ったその時、オクタヴィアが転生する直前に体験したとある出来事がフラッシュバックする──。

そもそもベースとなったBL小説の世界自体が重厚な設定よりもキャラクターの関係性重視の印象を受けていたので、そこに「女性が複数子供を産んで兄弟に差し出さなければいけない世界」なんて設定が付随するのが違和感ありすぎたんですよね。1巻の時点から匂わせがあったけど、オクタヴィアの転生に際した出来事が想像以上に重くて衝撃。あらゆる意味で「歪んだ」世界観だなと思ってはいたけど成立過程からして歪みまくってたんだな……。それにしても彼女を転生させた超越存在の人間への無関心さと悪趣味さかげんが凄くて、もうこれもう1〜2回ひっくり返す気満々では…!?

同時に、1巻を読んで疑問に感じていた部分の謎が一気に解消されて、読んでいて気持ちいいのなんの。いやストーリーやオクタヴィアの人生的にはシリアスだし重くてしんどい場面なんですけど、ここまで綺麗に疑問と解答が噛み合うともう無条件にテンション上がってしまうな……。

オクタヴィア&クリフォードの主従関係にときめく!

マイペースな一方で常に強くあろうとしていたオクタヴィアが過去のトラウマを呼び起こされ、転生し作り上げてきた鉄壁の防御を剥がされてしまう。年齢相応の少女らしい「弱さ」を見せてしまったオクタヴィアと、交わした約束通りにそんな主人(オクタヴィア)の弱い姿を周囲に見せまいと立ち振る舞うクリフォードがアツい。そして、クリフォードの「信頼」を受けて、流した涙を化粧の奥に隠してふたたび立ち上がるオクタヴィアが最高にかっこいい!最初は無関心のところからはじまったハズのふたりが、様々なやりとりを経てお互いに欠かせない存在になっていくのに胸がジンとしました。

世界を創造してしまうような敵とそれによって既定された『運命』に、それでも立ち向かおうと覚悟を決めたオクタヴィアとそんな彼女の事情は知らねど最後まで付き従うと決めたクリフォード。どう物語をひっくり返していくのか、本当に楽しみです。っていうかもうオクタヴィアはクリフォードと付き合ってることにしちゃったらいいのでは!!??いや色んな意味で彼にもまだまだ裏がありそうですけども!!だめ!!??

それにしても、1巻も舞踏会に行く直前で終わってしまって若干端切れの悪さを感じてしまったんですけど今回もなんで毎回こんな半端なところで切れるのか…せめて舞踏会が終わるまでは一気に読みたかった気がするんですけど……。


私はご都合主義な解決担当の王女である

 

大好きなBL小説の世界に転生した元女子高生の王女オクタヴィア。小説の主人公である兄とその恋人を間近で見られるのはいいんだけど、二人は男同士。となると、お世継ぎ問題は!?まさか私に政略結婚して子供を差し出せなんて言わないよね!?そんなご都合主義のキャラにはなりたくない!こうなったら、自分で結婚相手を見つけて絶対幸せになってやるーッ!!

男同士の恋愛が尊ばれる一方で、ほとんどの女は愛のない結婚を強いられたり、産まれた子供を世継ぎとして兄弟に差し出さなければいけない…という「ご都合主義ファンタジー」なBL小説――その小説で、主人公カップルの世継ぎ問題を解決するために存在する妹キャラ・オクタヴィアに転生してしまった腐女子の主人公。世継ぎ問題を丸投げして恋人(男)とイチャイチャする兄王子に辟易していた彼女はある日、売り言葉に買い言葉で「自分にも恋人がいる」と言ってしまって…。

ご都合主義ファンタジーBLの「モブ女」に転生してしまった…

推しカプを至近距離で見つめていられる!と思ったがあまりにも現実がハードモードすぎてやさぐれ気味のヒロインとそのほかの女性キャラたちと一部の男性キャラが死んだ魚の目になってるのが正直めちゃくちゃ面白い。女性の人権なさ過ぎて世知辛いんだけど面白い。

男色が普通の世界観でオクタヴィアだけが別の感性を持っているとかだと物語ももっとシリアスなものになっていたとおもうのですが、男色嗜好が王族を中心とした王都の上級国民層だけに根付いている風潮なんですよね。田舎からシンデレラロマンスを求めてやってきた侍女が男に相手にされなくて夢破れてたり、地方から配属された新兵たちがどんどん「染まっていく」同僚達におびえていたりする。それがなんか絶妙に物語をコミカルにしていて超楽しかったです。まあお金がなかったら、「跡継ぎ用の男」と「世継ぎ用の女」を二人産むとかそんな余裕ないよな。あらゆる意味で「余裕」のあるやつらだけのものになっているのが妙にリアル……。

恋人に一途なのはいいけど嫉妬深く、立場があるのに周囲が見えてなさすぎる兄王子がまた、リアルに「二次元キャラなら萌えるが現実にいたら近寄りたくないタイプ」なんですよね。通例があるとはいえ、妹のオクタヴィアに世継ぎ問題を押し付けて悪びれもしない姿にモヤモヤしてしまう。

誤解から始まる主従ラブ(※まだ始まってない)

兄や家族を納得させるため、仮初の恋人を探さなければならなくなったオクタヴィアの目に留まったのが、護衛騎士のクリフォード。なぜか長続きしないことに定評がある彼女の護衛騎士の中で、彼は珍しく三か月ものあいだ護衛騎士を続けていた。だからこそ明日にも辞めるかもしれない、恋人探しの間に異動されて身動きを取れなくなるのは困る!と、これまで無関心だった彼に声をかけてみたところ、思わぬ流れから『永遠の』忠誠を誓われてしまう。

自分の護衛騎士を「適当に決めた」「覚えてない」といいきるオクタヴィアの性格なかなかアレ…と思うのですが、その理由が「恋心を抱いた護衛騎士達がこぞって男に走ってトラウマになった」なのでもう一度頭を抱えてしまう。すっかり恋愛に対して干物になってしまった彼女が無自覚にクリフォードの好感度(多分)を稼いでいくのにニヤニヤしちゃう。

個人的に大好きなのは、ドレスを選ぶときになんとなしにクリフォードに意見を聞いたら、侍女たちとは違う視点でオクタヴィアを演出してみせるエピソード。オクタヴィアが持つ黒扇が人々の目に止まっているのを知った上で、彼女だけでなくその扇を「映えさせる」アドバイスをするのがなんというか政治的と言うか、大人の男性目線だなあと。見た目からして武骨なのにドレス選びもダンスのお相手もできちゃう、色々な意味で「ソツのない」彼を見ていると、恋人探しもこの人にしちゃいなよ!!という気持ちになってしまうのですが、クリフォードにはオクタヴィアの知らない「いわく」があるようで。その辺が今後どういう形で明かされていくのか楽しみ。

「悪役令嬢」物の逆を行くような展開。続きが気になる

前世では大好きなカップリングだったけど、こんな現実じゃ萌えたくても萌えられない!という、いろいろな意味で世知辛い展開も楽しかったですが、原作通りのオクタヴィアのように「(兄にとって)都合の良い妹」ではいられなかった彼女の兄への態度の違い、前世知識に由来する不可思議な行動などが相まって物語には本来なかったはずの兄妹の対立構造が発生し始めているのが気になるところ。

本来の展開を知っているがゆえに別の道を辿っていくというのは割と物語世界への異世界転生モノあるあるですが、本来の道筋よりを外れて元よりも立場が悪くなっているのが俗にいう「悪役令嬢モノ」と対称的というか。人生経験見た目の倍あるわりに、危機感覚が現代日本人以下というオクタヴィアの行動がまた、ハラハラさせられる。

彼女の存在を隠れ蓑にして兄を葬り去ろうとする謎の勢力とか、兄の態度の変化とか、隠されたオクタヴィア転生時のエピソードとか、護衛騎士クリフォードの秘密など、まだまだ物語は一筋縄ではいかなさそうで…続きがとても楽しみです。(それにしてもなんというところで切れるんだ!!)

ところで、この作品のモブ女子描写を見ているとどうしても「アイツの大本命」を思い出してしまう。佐藤が相思相愛をカミングアウトしたときのモブ女子の反応がめちゃくちゃ好きなんだよな私は…。